ユニークな機械部品
2024.03.18
今回は私が機械設計しているなかで、独創的で良く出来ているなと感じる部品について紹介していきます。
■ワンウェイクラッチ
これは一方向に駆動を伝え、逆の回転方向は空転する部品です。自転車の後輪にも同じような用途の部品が入っていますが、工業用に使われるワンウェイクラッチは、非常に滑らかで、カチカチ音がしたりしません。しかも正転駆動、逆転空転の切り替えも瞬時に行われ、自転車のようなガタがありません。
仕組みは、内輪と外輪の間にバネに押されたコロがあり、外輪の特殊な溝形状によってクサビのように食い込んだりスリップしたりします。
科学展示ではケガ防止のため、手回しのハンドルに入れて機械からの力の逆流を防いでいます。
出典:株式会社ミスミ 出典:NTN株式会社
■定荷重バネ
ゼンマイのように薄い金属板が巻かれた部品で巻尺(メジャー)のような構造をしています。通常の引っ張りバネは引っ張る距離によって強さが変わりますが、これは引っ張る距離にかかわらず一定の強さで引き戻そうとします。その特性からモノの重さをバランスさせ軽い力で操作できるようにしたり、巻尺のように軽い引っ張り力で収納する場面で使用されています。
電車の昇降窓、PCモニターの昇降、ペンダントライトの昇降、新幹線のロールスクリーンなどに使われています。
出典:株式会社ミスミ
出典:サンコースプリング株式会社
■ツールバランサ
定荷重バネと用途は似ていますが、こちらは組立工場などで電動ドライバーなどをぶら下げて使用します。
構造は定荷重バネと異なり、ゼンマイ状のスプリングと円錐型ドラムで構成されています。ゼンマイは巻くほど強くなりますが、ワイヤーが円錐ドラムの螺旋溝に沿って、移動するため、引張半径が変わりゼンマイの荷重変化を打ち消すように働きます。
定荷重バネと違い大きな荷重を発生させることができるため、大きな装置に組み込むときに使用しています。
株式会社MonotaRO
株式会社シロ産業
■ジップチェーン
こちらは大手チェーンメーカーが開発したアイデア商品です。通常ローラーチェーンは、回転の駆動を伝達するために使用しますが、チェーンが特殊な形状をしており互いがジッパーのように噛み合います。これによって回転運動を、ロッドを伸縮するような直動運動に変換します。
通常、直動の機構はストローク+αの機器スペースが必要ですが、こちらは縮んだとき非常にコンパクトになります。
◇動画
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=UXhB757XsVk
https://www.youtube.com/watch?v=-hZG5nY8OOw
出典:株式会社椿本チエイン
◇ジップチェーンを上手く使用した車椅子専用エレベーター「チェーンウェイターZ1」
◇動画
https://www.youtube.com/watch?v=gM95BifDJxg
出典:株式会社CHAIN WAITER
■まとめ
いかがでしたでしょうか。どれもアイデア商品でよく考えたなと関心します。よく使う部品や、まだ使ったことの無い製品もありますが、これらを頭に入れ適材適所で使って行きたいと思います。
吉岡 亮