MD技術要素(2)手回しハンドル
2023.07.03
私たちが独自に分析した展示装置、演出装置の技術要素を少しずつ紹介していきたいと思います。
観覧者が直接または間接的に操作する部分を「客接部(きゃくせつぶ)」と定義しています。
今回は客接部のド定番、手回しハンドルについてのお話です。
■回せば何かが起こる?手回しハンドル
展示装置、演出装置の手回しハンドルで一番多いのは人力発電機を回して発電した電気で何かが動く演出でしょうか。
例外もありますが、「スタートボタン」を押してからでないと回しても何も起こらない演出が多いので、
回す前に落ち着いてスタートボタンを探してみてください。
他には手回しハンドルを回して歯車やチェーンを動かす動力源とすることもあります。
■ハンドルの形状には・・・
大きく分けて
・スポーク型:輪と軸がスポークで繋がった車輪のような形状
・ディスク型:円盤と軸が一体になった形状
・クランク型:腕が軸と繋がった形状
の3つがあります。
※写真:イマオコーポレーションHPより
展示装置、演出装置ではディスク型を採用することがほとんどです。
理由は他の形状に比べて回転中に手や指が巻き込まれるおそれが少ないためです。
■回転速度と負荷
ハンドルには手で握りやすくするための「グリップ」が付いていて、多くの子供は力いっぱい限界速度で回そうとします。
およそ体重と同じ力で120rpm位で回されると想定しています。
そんなグリップには回転する方向の他に手前に引き抜く力や奥へ押し込む力が激しく加わります。
残念ながらメーカー製のグリップは軸受にベアリングが入っているものが無く、展示装置、演出装置で使用すると傷みと消耗が激しいのが悩みです。
安全性と耐久性を考慮してハンドルにあえてグリップを付けずに回しにくくすることもあります。
■右利き?左利き?回転方向
ハンドルをどちらに回してもよい演出もありますが、大抵は右利きで時計回りに回すことを前提にしています。
だからといって反対方向に回らないようにしてしまうと操作感が不自然なだけでなく、手が滑ったとき大変危ないので
ハンドルにワンウェイクラッチを組み込んで動力は一方向にしか伝わらず、反対方向は空転するようにしています。
結果的にはどちらにも回るので回す方向を示す「矢印グラフィック」を付けることが多いです。
■実は厄介な回転抵抗
手回しハンドルを回すときに抵抗(重さ)がほしいという要望が出ることがあります。
世の中には抵抗を減らすアイデアはよく見かけるのですが、重く(渋く?)する方法は意外と少ないようです。
今のところロータリーダンパーという製品を使ったり、ローラーを押し当てたりする方法を採っていますが抵抗の調整が難しいのが課題です。
■展示装置、演出装置で定番の手回しハンドルを教えて!
ディスク型ハンドルは「イマオコーポレーション_DA200RG」でグリップも付いているのですが、
細くて子供の顔に当たると怖い、服が引っ掛かりやすくて危ないなどの声があり、
グリップは丸くて太くて柔らかい「イマオコーポレーション_ERBG48-SOFT」に交換して使っています。
島津久義