MD技術要素(1)押ボタンスイッチ
2023.05.15
私たちが独自に分析した展示装置、演出装置の技術要素を少しずつ紹介していきたいと思います。
観覧者が直接または間接的に操作する部分を「客接部(きゃくせつぶ)」と定義しています。
今回は客接部のトップスター、押しボタンスイッチについてのお話です。
■あればつい押してしまうみんな大好き押しボタンスイッチ!
押しボタンスイッチには大きく分けて「モーメンタリ」と「オルタネイト」という種類があります。
モーメンタリ(momentary)とは"瞬間的な"という意味で、押したときだけON(凹む)になります。
一方、オルタネイト(alternate)とは"交互"という意味で、押したらずっとONのまま(凹んだまま)で、もう一度押すとOFFに(凸に)に戻ります。
展示装置、演出装置の客接部にはほぼモーメンタリが使われています。
理由は押しボタンスイッチを押して展示や演出を開始した後は自動的に終了するものがほとんどなので、スイッチでOFFにする必要がないためです。
■押しボタンスイッチを押したけど「ON」なのか?「OFF」なのか?見た目ではっきりさせたい!
そんなときはLEDランプを内蔵した照光式の押しボタンスイッチを使います。
普段は消灯していて押すと点灯するのを「オンピカ」、反対に普段は点灯していて押すと消灯するのを「オフピカ」と言います。
どちらを採用するかは施設の運営方針("押してね!"の合図ならオフピカ、"押したよ!"の合図ならオンピカ)で決まります。
また照光の色はスタートボタンなら白色光であることがほとんどですが、照光に色を付けると(青は水、赤は炎、黄色はエネルギーなど)押しボタンスイッチに意味性を持たせることができます。
ときに押ボタンスイッチは「ON」でもなく「OFF」でもない状態になるときがあります。
おもに展示装置、演出装置の展示や演出が終わって次の展示や演出を行うのに準備(動かしたメカを戻したり、流した水を汲み上げたり)する時間が必要なときです。
そんなときは"待ってね!"の合図として「点滅」させることが多いです。
また点滅は施設のスタッフにエラーで装置が停止していることを知らせる合図とすることもあります。
■押しボタンスイッチを押した後にすぐさまもう一度押されたら(連打されたら)どうする?!
これはスイッチというよりプログラム制御の範疇ですが、スイッチを押した後の動作には「先押し優先」と「後押し優先」という考え方があります。
先押し優先とは、先に押したスイッチで行う展示や演出が終わらない限り、後から押したスイッチを受付けないようにする動作です。
反対に後押し優先とは、先に押したスイッチで行う展示や演出の途中でも、後から押したスイッチを受付けるようにする動作です。
どちらを採用するかは展示や演出の内容("途中キャンセルNG"なら先押し優先、"途中キャンセルOK"なら後押し優先)で決まります。
■展示装置、演出装置で定番の押しボタンスイッチを教えて!
今のところ
ゲーム機っぽさを求めるなら「三和電子_照光式押しボタン薄型クリア30φマイクロスイッチ一体型LEDランプ_OBSAX-C30UM-W-1FLED-W-24V」
メカっぽさを求めるなら「IDEC_フラッシュシルエットLWシリーズ照光押ボタンスイッチ丸形モメンタリ_LW6ML-M1C14PW」
の2択でしょうか。
■押しボタンスイッチは貴重品?!
じつは現在、半導体不足とサプライチェーン問題で入手困難が当たり前の状態になっています。
どこかの施設の展示装置、演出装置で貴重な押しボタンスイッチに出会ったらどうぞ丁寧に連打してみてください。
島津久義