「安全で」「楽しい」動く装置のつくりかた 1.はじめに
2023.03.13
こんにちは、Medico-tec株式会社(https://www.medico-tec.co.jp/merit/)で おもに造作(モーターなどの、電力を使って動く機械じゃない部分)の設計をしている矢野です。
「私の業務って、DIY好きの人の作品のレベルアップに役立つのでは?」
「むしろ、動く装置の仕組みを知りたいすべての人に喜ばれる内容なのでは?」
との思い付きにより、今回から「こんなことを気にして、こんなものを使って設計しています」という内容を書きまとめてみたいと思います。
まだまだ未熟者の知識ではありますが、
・ものづくりに興味がある
・DIYをレベルアップさせたい(滑らかに動かしたい!など)
・(展示)装置の中身がどうなっているのか興味がある
・なんなら装置を自作/製作依頼したい
なんて方の一助になれば嬉しいです。
※前提として、人力以外の動力を使って動かす機構の具体的な設計手法は出てきませんのでご了承ください。
1. はじめに
今回は、装置づくりの考え方が主な内容です。
突然ですが、このブログをお読みいただいているあなたは、科学館の展示装置に触れてみたことはあるでしょうか?(画像はイメージです)
触ったことある!という方は、もしかしたらその装置は弊社が製作したものかもしれません。
科学館に馴染みがないという方は、たとえば下記のものを思い出してみてください。
・公園や広場にある、からくり時計
・ゲームセンターのUFOキャッチャー
・大きなボールコースター(握りこぶしくらいのボールが数十秒かけて長いレールの上を転がり、様々な仕掛けを越えていくもの)
想像できたものがありましたら、弊社ではだいたい似たようなものを作っています。
(もちろん、もっと模型に近く動きの小さいものも、人間を乗せて動く大きい装置も作ります。)
つまり何が言いたいかといいますと、すぐそばに お客さんがいる状態で動作して(あるいはお客さんに動かしてもらって)、楽しませる装置を作っています、ということです。
ここで今回のタイトルを思い出してほしいのですが、『「安全で」「楽しい」動く装置』には、こんな意味合いをこめています。
「安全」...使う人が触れられる、近くにいるということは、その装置は使う人を傷つけないものでなくてはなりません。
「楽しい」...装置をいざ動かそうとして、操作があまりに大変だったり、そもそも壊れていて使えない、なんて興ざめです。多くの人に、長く快適に使ってもらえる工夫が必要です。
なにを当たり前のことを、とお思いかもしれませんが、この当たり前が最大の障壁であり、頭を悩ませてくるポイントなのです。
とくに、「こんな装置、面白そう!」というアイデアが先にくると、安全性を満たし、安定した動作を実現するためにあれこれ試行錯誤しなければなりません。(そもそも作れるのか?という問題さえあります。)
加えて、装置を展示、つまり置きっぱなしにしていると、どうしても想定外の使い方をされる場合があり、それでも壊れないように作る必要もあります。
そのあたりを押さえたものづくりのポイントとして、以下のような項目が挙げられます。
1. 前提として、
・どこに設置するか
・誰が使うか
・どのくらいの使用頻度か
2. 1をふまえて、安全に使ってもらうための
・つくるものの大きさ
・素材
・表面の仕上げ加工
3. つくったあと、長く楽しく使うための
・壊れにくい形
・部品えらび
・メンテナンス性(直しやすさ)
弊社HPにも、設計・製作・検査の考え方が詳しく載っていますので(https://www.medico-tec.co.jp/merit/)ご興味あればご一読ください。
次回から、おもに上の項目の内容について、「こういうものが作りたい!」という目的別に「こんな方法/考え方もありますよ」というご紹介をする、という形で書いていきたいと思います。
長い前置きにお付き合いいただきありがとうございました。よろしければ次回以降もお楽しみに。
矢野恵美