日米のマネー教育の違い
2022.12.05
皆さんは、アメリカの子供が使っている貯金箱のことを知っていますか?
私は知らなかったのですが、
夏休みのイベントの打ち合わせで、京都信用金庫の暮らしのサポート部の方が見せてくれてその存在を初めて知りました。
その説明を聞くと単なる貯金箱ではないことに驚かされました。その貯金箱にはお金の投入口が「4つ」あったんです。
?つかう(消費)? 今の自分の喜びに特化した穴
馴染みのある穴で、今欲しいもの、近々使う予定のお金を入れます。
?ためる(貯蓄)?少し先の自分の喜びに特化した穴
これも馴染みのある穴で、欲しいものを我慢して、少し先に大きなものを得るためにお金を入れます。
?ふやす(投資)?人の喜びがお金でリターンする穴
良くない印象のある穴で、今使っていないお金を必要とする企業に活用してもらって、社会の豊かさを生むために使うお金を入れます。
?ゆずる(寄付)? 人の喜びが自分の喜びとなる穴
馴染みのない穴で、困った人を助けためなど、みんなのために使うお金を入れます。
私たちは、?つかう(消費)や?ためる(貯蓄)ための貯金箱のことは良く知っていますが、
?ふやす(貯蓄)や?ゆずる(寄付)まである貯金箱は見たことがないと思います。
アメリカの子どもたちはこの「4つの穴の貯金箱」で、
お金に使い方や学び、世の中のお金の流れや仕組みを考える、投資教育を子供のころから受けて「金融リテラシー」を身に付けています。
一方、日本ではどうでしょうか?
家庭でも学校でも「お金の使い方」を学ぶ機会はほとんどなく、むしろ、お金の話はタブーとされ「株や投資はギャンブルの一種」の考え方が残っています。
金融庁のアンケートでは「金融や投資の教育を受けた機会がない人」が7割、その内の3分の2が「金融や投資の知識を身に付けたいとは思わない」そうです。その結果として、家計の金融資産構成の比率は、以下の図のようになっています。
(現金・預金)
日本54.2% 米国13.7% 欧州34.9%
(投資)
日本14.4% 米国50.8% 欧州27.9%
(日本銀行調査統計局「資産循環の日米欧比較
(2020年)より
このように、自分や家族のために消費するために
「お金は貯める(留める)」ことを学んできた私たちと、自分や家族だけではなく、豊かな社会にするために「お金を増やす(回す)」ことを学んでいる、アメリカやヨーロッパとのお金との付き合い方の違いが明確になっています。
銀行にお金を預けていても増えてはくれない(普通預金金利0.001%)日本こそ、この4つの口(消費、貯蓄、投資、寄付)のお金の使い方を学ぶ必要があるのではないかと思っています。
そのために、先ず家庭で実践することからは始めてはどうでしょうか?
子どもが、
・小中学生なら、4つの貯金箱などを使ってお金の計画をたてる
・高校生なら、アルバイトやインターネットを活用してお金を得る
・大学生なら、投資や寄付のトレーニングをする
そして、社会人になったら、豊かさを感じられる「お金の使い方」ができるような子どもになってください。
弊社では、SDGsの達成目標「4.0質の高い教育をみんなに」の取り組みとして、今年の夏休みに、地域の子どもたちに「お金×科学(お金の使い方とお金に増やし方)」を学ぶワークショップを開催しました。
7/28-30『お金×科学?京都信用金庫でものづくり』WSを開催しました | つくるまなぶ京都町家科学館 (tsukuru-manabu.jp)
宿野 秀晴