エネルギーハーベスティング
2021.03.01
「エネルギー ハーベスティング」という言葉を聞かれたことはあるでしょうか?
日本語で収穫するという意味で、環境発電とも言われています。
エネルギーハーベスティングは、発電所のような大きな発電ではなく、身近な小さなエネルギーを収穫して
発電する技術です。
近年、IoTの弱点を補う地産地消のエネルギーとして注目されています。
代表的なものは、振動発電、光発電、温度差発電などがあります。
「振動発電」
圧電素子などにより、振動を電力に変換する技術で、最近実用化された例では、「TOTOエコリモコン」があります。
通常トイレのリモコンは電池で駆動していますが、このエコリモコンは、ボタンを押したエネルギーで発電し、
本体に電波で信号を送ります。
電池が不要で施工も簡単なので、公共のトイレでは、エコリモコンのほうが売れているそうです。
「光発電」
こちらは、電卓でもおなじみの太陽電池です。
その他では、最近 製品化されたモノに「リコー SMART R MOUSE」があります。
(写真右:固体型色素増感太陽電池「RICOH EH DSSC2832」)
パソコンに使うマウスは、有線から邪魔なケーブルのない無線に変わりつつありますが、
電池交換や充電といった煩わしさが増えました。
このマウスを使えば、ケーブルからも電源からも開放されストレスフリーで使えそうです。
「温度差発電」
熱電変換素子などを利用して発電する技術です。
アメリカのMATRIX Industriesが開発した「MATRIX PowerWatch(マトリックス・パワーウォッチ)」は、
体温との温度差で発電するスマートウォッチです。
時計表面と体温の温度差が1℃以上あれば駆動できるそうです。(写真右:熱電変換素子)
スマートウォッチは、通常1日から1週間に一度は、充電する必要がありますが、これは腕に着けているだけで、
充電し忘れも無くなりそうです。
こちらは、理科教材販売のケニス株式会社「温度差発電モデル実験器SU-1」です。
熱電変換素子にペルチェ素子が使われており、お湯と冷水で温度差発電の実験ができます。
ペルチェ素子は、半導体を組み合わせた素子で両端に温度差を生じさせるとゼーベック効果により電力を生じます。
(写真右:Wikipedia引用)
温度差で発電する不思議な体験で、子供たちもエネルギーに興味を持つのではないかと思います。
現代では、小型の電子機器・携帯端末があふれかえっており、いずれも電源の問題があるため、
これらが「エネルギーハーベスティング」により便利に解消されていくと思います。
そうすれば、僅かかもしれませんが、低炭素社会への近づくのでないかと期待しています。
当社では、科学展示などを通してSDGsやカーボンゼロの活動に取り組みたいと考えています。
今後の活動や記事のヒントにしたいので、当社にできそうなことがあれば、ご連絡いただけると幸いです。
吉岡 亮