IMT東京 『プロトログ 山中俊治デザインの発生学』
2022年5月、東京のIMT(インターメディアテク)で開催されていた企画展示『プロトログ 山中俊治デザインの発生学』に行ってきました。
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IMTの常設展示スペースは、東京大学の学術標本(生物骨格、鉱物や植物、歴史的な機械など)が工夫をこらして並べられており、常設展示だけでも一見の価値があります。
開発されたプロダクトとともに、山中氏のアイデアスケッチも多く展示されています。
展示されているプロダクトは、乗物から椅子、動くオブジェなど実にさまざまですが、いずれも動植物との関連が紹介されています。
『Ready to Fly』甲虫が羽根をしまうときの折り畳み構造を参考に製作された装置です。大きな面積の羽根を、効率よくコンパクトにたたんだり広げたりできる仕組みは、宇宙空間で人工衛星のソーラーパネルを展開するときにも求められる技術です。
プロダクトには、それぞれの参考になったものの説明やデザインスケッチも添えられています。
『tagtype Garage Kit』こちらも甲虫に似たフォルムの、キーボードです。日本語入力に特化していて、親指2本で操作できます。
親指での操作に向いたボタンの配置は、タカアシガニの足のつき方に似ている。人間工学を参考にしたハンドルは、流体力学から作られた船の舵のような形。学術分野をまたいだ興味深い相似が存在するようです。
『Flagella』ウニョウニョと腕をくねらせているように見えますが、腕は硬質で伸縮性はなく、関節部分がそれぞれ1つの軸で回転しているだけです。腕の曲線の組み合わせで複雑な動きになっています。
3Dプリンタで作られた生物のモデルなど。生物の形態に着想を得たプロダクトの数々は、生物の形をよく観察し、真似てみるところから発生するのかもしれません。